2012年12月19日水曜日

南方 西方 行遊記 5/5

無錫の セール・ボート 工場
 
昨年の7月から1年半の間に3回松本さんのクルーザー建造所に訪れたが
3回とも建造所を移転しており、それも訪れる度に より大きくてきれいな工場となって行くのは
日本では考えられない事だ。




今、34feetのカタマラン艇
がヒット商品で 
バカ売れしている事も
理由だが、それよりも
工場の大家さんが
工場の借り手が出ていくので
空き工場となるのを
防ぐために 必死に誘致し
条件が借り手優位に
なっていることがあるらしい。



  船外機が 飛行機の引き込み脚みたいに出し入れできる構造がユニーク。

 キールの積層作業。
 
 デッキの積層 上下が逆になっている。

 
松本さんの事業に興味を持つ人は どんどん投資し 興味がなくなれば
さっさと投資を引き上げるので、 
常に出資者の入れ替わりが激しいのは 当たり前の事のようだ。
 
 
事務所棟、 広大な敷地には たくさんの工場が立ち並び
大家さんが 多数の社長に それぞれの建物を貸している。
各社の事務所は 1室ずつこの建物の中にある。
施設の大きさの割には あまり人の気配は多くなかった。
 
 
松本さんは また、今年のゴールデンウィークに開催された
関空一周ヨットレースでは
中国ヨット協会の主要な人の通訳として活躍をしました。
日本のヨット関係者で中国語を話せる方は少ないので
日中のセーリング・スポーツ交流では貴重な存在です。
 
 
其田さんは 『i550』 と言う名の 小型スポーツカーのような
小さなクルーザーも 手掛けている。
 
 
今回の私の役割については:
其田さんは艇体(ハル)の建造者であり
センターボードやラダーは 製造方法が同じなので問題はないが
セールやマストの製造は 経験がまだ浅い。
 
クラスルールでは セール、マストにライセンスは必要ないので
誰もが自由に作ることができるが、しかしルールは満たさなければならない。
今後の販売に向けて、外国からの既製品を買うことをやめ、
自社でセール・マストを製造するためにクラスルールに合致しているかの
検証 および 其田さんの今後の考えにアドバイス をする事が 私の仕事だった。
 
もっとも セールについては 中国内のセールメーカーに外注するのだが
そこは ミラークラスのセールなど作った事はないので
正しいルールの知識を伝え、指導しなければならない。
私は日頃行っている計測講習会のインストラクターの役割を
其田さんと姜のために
プライベート・レッスンした形となった。
 
 
 
****************************   **************************
 
今回の役割を終えた私は、これから帰国の途に就く。

途中で立ち寄ったレストランの前に駐車していた電動3輪車
中国には日本の軽自動車はない。 
軽トラックなどは、輸入すれば便利と思うのだが、国の政策として認めないようだ。
また、商用車・小型トラックも日本からの輸入はない。

その代りとして、庶民にはバッテリー駆動の3輪車は足がわり・運搬車として欠かせない。
制限速度は40kmだが、免許は要らず 満充電の走行距離は約50㌔で
これに小さな子供を含めた家族の全員が乗り移動しているのをよく見かける。
現在の庶民水準で 限りなく実用性を求めた結果、出た答えがこの車なのだろう。

中国を訪れる度に 私にはこの3輪車が いつも気になる存在である。
日本でも かつては 『オート3輪車』が全盛の時代が(短かったのだが)あった。
現状には決して満足はしないが、もう少しで届きそうな夢が すぐそこにあった時代だった。


レストランの窓の外から見えた住宅群。
四角い家ばかりではギスギスしてしまうので伝統文化を感じる形に安らぎを覚える。
リニューアルした古い家かと思って後から見たら 戸建の分譲住宅だった。
一帯が広大な新住宅地で、同じようなデザインの家に売出し中の のぼりが目立っていた。
しかし、まだどこの家も住んではいないようだった。

   これはトウモロコシを揚げたもの、砂糖がかかっていて 甘くておいしかった。
    これならば私の料理の腕でもなんとか出来そう。 今度挑戦してみよう。

 今回の中国訪問は、計測旅行と言うよりも 食通旅行となってしまった今回。
これが、最後の食事。
視覚・触覚・聴覚・嗅覚 よりも、味覚をより楽しむ事が出来た。
 
中国料理の奥深さは、中国大陸の懐の深さと似ている。
昔、父は「日本とは全然違う、大陸の奥の広さに負けた。」 と 
いつも よく言っていた事を思い出す。
 

           18時5分発の飛行機に間に合わせるために、姜は車を飛ばす。

 
遠くに見える パリの凱旋門のようなデザインの超高層建築。
あれは、見栄えは素晴らしいのだが、調査をした結果、基礎に欠陥があり
1年以上も 工事中止のままになっている建物と言う。
日本でも姉歯氏建築の例があるが、その規模は比べ物にならない程大きいので
壊すに壊せない”砂上の楼閣”なのだろう。
 
蒲郡のラグーナも25年前の構想では
別荘地の1件1件に入り江が引き込まれ、
自宅の庭からクルーザーで直接海へ出艇できる事が売りで
ラグーン(入り江)からつけられたネーミングだが、バブル後はストップした。
 
三亜の新設マリーナや 中国のマリン産業も
今年4月の上海ボートショーでは、あれほど華やかだったのに
現地を訪れて見て、初めて 将来の栄枯盛衰 の怖れを予感した。
しかし、どのような時代が訪れようとも、中国のこの生命力に 適(かな)うものはない。


* 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿